「写真愛好家のためのセンサー入門:サイズと特徴を徹底比較」

カメラを選ぶ際に気になるセンサーサイズについて、皆さんはどれくらい知っていますか?カメラの品質を決める大きな要素のひとつであり、センサーの大きさによって撮影される画像のクオリティにも大きな違いが生じます。

この記事では、センサーサイズの種類とそれぞれの特徴に焦点を当て、わかりやすく解説していきたいと思います。これからカメラを購入しようと考えている方や、センサーサイズの知識を再確認したいという方にも役立つ情報が満載です。

最終的にはセンサーサイズの異なる6つのタイプについて、その違いについても説明していくので、参考にしていただければと思います。

カメラの心臓「センサーサイズ」について

カメラにおける重要な役割を果たすイメージセンサーの大きさをセンサーサイズと言い、その縦横の長さや対角線の長さによって表現されます。このセンサーの大きさは、撮影される写真の明るさに直結しており、より大きなセンサーほど多くの光を集めることができ、その結果として明るい写真を得られます。

また、センサーサイズはそれぞれ異なるF値の効果にも影響を与えます。例えば、フルサイズセンサーでのF1.4は、APS-CセンサーではF2.5相当にあたる1段と2/3段の差が出ると言えます。※

しかし、センサーサイズが小さいと光の取り込み量が減少し、写真が暗くなる傾向にありますが、その影響で焦点距離が伸びることで別の利点も生まれます。

センサーサイズの種類

カメラのセンサーサイズは様々に分かれており、特に一般的な家庭用カメラで見ることができるセンサーは、下記の6つのタイプが存在します。

  • フルサイズ
  • APS-C
  • マイクロフォーサーズ(4/3型)
  • 1型
  • 1/1.7型
  • 1/2.3型

以上の他にも、より大きな中判センサーや、1/2.3型より小さなサイズなど、さまざまなセンサーサイズが市場にはあります。

今回は、プロ用機材や特殊な産業向けのカメラで主に使用されているセンサーサイズについては触れません。これらのセンサーは一般的な消費者が手にする機会は少ないため、ここでは取り扱わないこととします。

従って、少なくとも一般家庭でよく見かけるセンサーサイズには、上記で挙げた6つがあるという認識を持っていただければと思います。

それでは、それぞれのセンサーサイズについて、詳細に説明を進めていきましょう。

フルサイズ(縦36.0mm×横24.0mm)

フルサイズと呼ばれるセンサーサイズは、縦36.0mm、横24.0mmと定められております。

一般に、カメラのセンサーサイズは35mm換算で表されるフルサイズをベースに構成されています。

フルサイズが基準となっている由来は、かつて広く普及していた35mmフィルムのサイズが、現代でもそのまま引き継がれているためです。

フルサイズは歴史的にも基準とされ、数多くの機材が35mm規格で製造されてきたため、これらの機材が現在でも利用可能であるという大きな利点があります。

さらに、消費者が手にできるカメラのセンサーサイズとしては、このフルサイズが最も大きなものとされています。

フルサイズセンサーを採用しているカメラには次のような種類があります。

APS-Cセンサーの特徴

APS-Cセンサーは高さ23.5mm(一部23.7mm)に幅15.7mmの寸法を有するイメージセンサーです。この種類のセンサーはフルフレームセンサーに次ぐ、広範囲にわたる撮影面積を誇ります。

各カメラメーカーごとに微妙にセンサーサイズが変わることもAPS-Cの一つの特性と言えるでしょう。通例、フルフレームセンサーと比較して、APS-Cは1.5倍の焦点距離換算が目安となるのですが、キヤノン製のカメラに限っては、焦点距離が1.6倍となる点が異なります。

このことから、センサーサイズを二種類記載することがあります。

さらに、APS-Cセンサーは、そのサイズがフルフレームよりもコンパクトなため、APS-Cセンサー搭載カメラは、一般的にフルフレームカメラよりもサイズが小さくなる傾向があります。

しかし、小さくてもセンサーサイズが大きいため、暗いシーンでも比較的高性能を保ち、美しいボケ味を実現することができるのが特長です。覚え方としては、「フルフレームセンサーの下位に位置する大きさをもつのがAPS-Cセンサー」と覚えるとよいでしょう。

APS-Cセンサーを採用しているカメラは、以下のようなモデルがあります:

マイクロフォーサーズ規格のセンサーサイズ

マイクロフォーサーズとは、縦横の寸法がそれぞれ17.3mmと13.0mmの規格を持つセンサーサイズを指します。この規格はOLYMPUS(OM SYSTEM)やLUMXに採用されており、APS-Cタイプのセンサーに比べて一回り小さいことが特徴です。

「マイクロフォーサーズ」の命名は、元のセンサーサイズである「4/3型」という名称を基にしており、英語表記に変換されたものです。この規格のセンサーは、フルサイズに比べると約半分の大きさを有し、同じ焦点距離を持つフルサイズセンサーに比べて、2倍の焦点距離が得られるという面もあります。例えば、フルサイズでは100mmのレンズを使用している場合、マイクロフォーサーズでは同等の画角を得るためには200mmのレンズが必要となるわけです。

そしてOLYMPUS(OM SYSTEM)やLUMIXなど複数のメーカーがこの規格を採用しているため、マイクロフォーサーズマウントを備えたカメラやレンズなら、メーカーを問わず互換性があります。例えば、OLYMPUS製のカメラを使用しているユーザーがLUMIXのマイクロフォーサーズモデルに切り替えた場合でも、既存のレンズが引き続き使用可能なのは大きな利点です。

現在市場に出ているマイクロフォーサーズセンサーを搭載したカメラには様々なモデルが存在します。

1型センサーの特徴と普及

1型センサーは、具体的な大きさとしては13.2mm×8.8mmとなり、コンパクトデジタルカメラ(コンデジ)での使用が盛んになっているサイズです。ソニーがコンパクトデジタルカメラに1型センサーを導入した事から始まり、現在では複数のカメラメーカーが1型センサー搭載の機種を市場に投入しています。

マイクロフォーサーズよりは小さめですが、それより小さいサイズのセンサーと比較すると、大きく感じられるこのセンサーサイズは、低光量時の性能や画質の向上が期待できます。また、背景のぼけ感を表現することがしやすくなるのも、このサイズからです。

現代のコンデジが1型センサーを内蔵していると、豊かなぼけ味を手軽に楽しむことが可能になるわけです。これまでご説明してきたように、センサーサイズが大きくなる利点がありますが、特に1型センサーが搭載されているのはコンデジという点にも注目です。コンデジならではの小さなボディに1型センサーが収められていることも、大きな魅力の一つです。

小型のボディは持ち運びに非常に便利で、多くの利用者にとって欠かせないメリットとして挙げられます。さて、市場にある1型センサーを搭載したカメラとしては、次のようなモデルがあります。

1/1.7型センサーについて

特徴的なセンサーサイズである1/1.7型は、縦が7.5mm、横が5.6mmという特定の寸法を持っています。かつては頻繁に見受けられたサイズですが、最近ではその出現頻度は減少しています。ひと昔前には、いわゆる高級コンパクトデジタルカメラ(高級コンデジ)でよくこのサイズが選ばれていました。

しかし、現在では「高級コンデジ」と称されるカメラ群の中では1型センサーが主流となっています。これは技術の進化に他ならず、以前と同じようなカメラボディの中でも、約2倍の大きさを誇る1型センサーを収容できるようになったのです。テクノロジーが向上するにつれて使用されなくなるセンサーもあるのですが、それは同時に進歴を意味するため、その側面では好ましい傾向と言えるでしょう。

もしも1/1.7型センラーカメラを試してみたいのであれば、過去のモデルを手に入れることを考えてみてください。

1/2.3型センサーの特徴と普及

縦6.2mm、横4.6mmの大きさを誇る1/2.3型センサーは、多くのコンパクトデジタルカメラに使用されているセンサーサイズです。このサイズは、裏面照射型センサーとしても知られており、その高い性能によって注目を集めています。近年、スマートフォンのディスプレイサイズが拡大し、カメラ性能の向上も著しい中で、このような大型センサーの搭載が進んでいます。スマートフォンのカメラの質の向上の背景には、従来よりもサイズが大きいセンサーを採用する流れがあると考えられます。

1/2.3型センサーは、そのサイズ故に、被写界深度が浅くなりがちですが、ボケ味を得るのが難しいとされています。しかしながら、スマートフォンでは内部のソフトウェアによる加工によって、ボケ感を出す技術も発展しています。このセンサーは小型であるため、それを利用するカメラもコンパクトなことが大きな利点です。

1/2.3型センサーを採用しているカメラは、下記のような製品群が存在します。

センサーサイズ比較表

カメラのセンサーサイズを一覧表に整理してみました。

センサータイプ センサーサイズ クロップファクター 主な使用カメラ種別
フルサイズ 36.0mm×24.0mm 等倍 一眼レフ、ミラーレス
APS-C 23.5mm(23.7mm)×15.7mm 1.5倍(Canonは1.6倍) 一眼レフ、ミラーレス、コンデジ
マイクロフォーサーズ(3/4型) 17.3mm×13.0mm 2倍 ミラーレス
1型 13.2mm×8.8mm 2.73倍 コンデジ
1/1.7型 7.5mm x 5.6mm 4.55倍 コンデジ、スマホ
1/2.3型 6.2mm×4.6mm 5.58倍 コンデジ、スマートフォン

お手持ちのカメラや購入予定のカメラがどのカテゴリに属するか、またそれぞれのカメラのセンサーサイズがどう相違するかを比較する際に、この表を参考にしてください。

カメラセンサーサイズのまとめと応用

カメラを選ぶ際には、センサーサイズが非常に影響を及ぼします。今回は、カメラのセンサーサイズの種類やそれぞれの特性についてご説明いたしました。

普段写真を撮るときセンサーサイズは意識せずとも、カメラ選びの瞬間にその重要性が顕著になります。

センサーサイズに精通していることは、自分が所有するカメラのサイズを知り、次に購入するカメラを決定する際や、35mmフルフレーム換算での撮影結果を予測する場合など、多岐にわたる応用が可能となります。

この機会に、是非センサーサイズについて覚えて、カメラに関する知識を充実させましょう。