刺激的な写真を撮りたいと思っても、必ずしも特別な場所に出向く必要はありません。身の回りのありふれた環境でも、少々の工夫で素晴らしい作品を生み出せるのです。
「どこで撮っても平凡な写真ばかり…」とお悩みのあなたへ
忘れられない魅力的な写真を撮りたい方必見!
撮影テクニックは少しのコツを掴むだけで、まるでプロのカメラマンが撮影したかのような、鮮やかなイメージをカメラに収めることができます。この記事で、そんな便利な撮影のヒントをご紹介します。
例えばこちらの一枚。子どもがひとり広い海原を歩いているように見えます。本当に安全なのでしょうか?安心してください、この写真の秘密は記事の続きでお教えします。
1.構図の基本について学ぶ
素晴らしい写真撮影の秘訣は、高性能なカメラやレンズだけでなく、「構図」の理解にあります。いつも無意識にシャッターを切っている方も、少し構図を意識するだけで、写真の質が劇的に向上します。構図に関しては、スマートフォンでも十分に対応できるのです。
1-1. フレーミングの技法
フレーミングという言葉を聞いたことがありますか?これは、目の前に広がる景色を、写真に収めたい範囲に絞り込む行為を意味します。先に紹介した一例を見ると、実際には広大な海原が広がっているわけではなく、ちょっと画角を広げると周囲の砂浜や向こう岸の建物が入ってしまい、ただの海水浴場の浅い部分だとすぐに見破られてしまう光景になってしまいます。
また、フレーミングには別の意味でも用いられます。建物の構造や窓の枠を写真のフレームとして利用し、対象物を包み込むようにして撮る技法です。これによって見る人の注目を対象物に向けさせる効果を生み出せます。例えば、巨大な寺院の門を使って構図を作り出すことで、額縁に収めたかのような趣がある写真を撮ることができるのです。
フレーミングを駆使して対象物が見つかったら、次に考えるのは構図です。いつも同じように対象を写真の中央に持ってくるのが常である方は、ここで紹介するいくつかの方法を実践してみてはいかがでしょうか。
1-2. 三分割構図の活用
「三分割構図」とは、フレームを縦横に三等分し、その交差点に主要な被写体を配置することで視覚的な調和を図る撮影テクニックです。ご自身のカメラにも、画面にグリッド線を表示する機能が搭載されている場合が多いです。この機能を利用して、グリッド線の交点に焦点を合わせて撮影すれば、見る人に新鮮な印象を与える作品が出来上がります。iPhoneユーザーは、カメラの設定メニューから「構図 → グリッド」をONに設定することで、この線を表示させることができます。
1-3. シンメトリーな構図の魅力
シンメトリーとは、画面を垂直または水平方向に分けたときに、両側が互いに鏡写しのような対称形状をしている状態を言います。このような対照的な配置を取り入れた写真は、視覚的に安定し、心地よい印象を与えることができます。
例えば、中央に対称軸を持つ「日の丸構図」もシンメトリーに含まれますが、これが理論的な避けるべきポイントではないことに気付かれるはずです。ターゲットを際立たせたい場合は、日の丸構図が非常に有効です。
今回のケースでは、猫が画面のど真ん中に位置していて、力強さを放つ視線が特徴的な一枚になりました。開放感のあるレンズを使用することで、前後のぼけ感が増し、猫の存在感がより際立っています。
まるで何かを語りかけるような表情が、見る人の心をくすぐりますね(笑)。
構図に関する深堀りした内容は別記事にて紹介していますので、ぜひそちらもご一読ください。
2.光の活用術
写真撮影において光は欠かせない要素の一つです。光の使い方を間違えると、いくら構図が完璧でも、黒つぶれや白飛びのような問題が発生してしまいます。陰影を巧みに操りながら、理想に近い写真が撮れる技術を身につけましょう。
2-1. 日照を駆使する撮影術
明るい日差しや優しい月明かりなど、自然がもたらす光源によって放たれる「自然光」は、私たちの周囲に満ちています。屋内や夜の暗がりの中を除けば、撮影の際はたいていの場合自然光を利用していることでしょう。
とりわけ自然界の明と暗を駆使することで、写真に独特な雰囲気を演出することが可能になります。例えば、昼間の日光のもとで、城の石垣に垂れる桜の美しさを捉えたり、スポットライトで照らされているかのような鮮やかな印象を表現することができます。
適切な測光設定を施すことによって、対比の強い奥行きのある幻想的な作品を創り出すことができるのです。太陽が真っ昼間に照りつける光景さえも、光と影のバランスを上手く操ることで、劇的な写真に昇華できるわけです。
2-2. 人工光の活用
「人工光」とは、電灯やフラッシュなど人工的に作り出された光源から発せられる光のことです。
人工光を活用することで、明るく鮮明な写真が撮れます。
照明の反射や映り込みは見栄えがするので、積極的に取り入れてみましょう。
2-3. フラッシュの正しい活用法
多くの人々がフラッシュを使う時、「暗い所でもクリアな画像を撮れる」という利点を思い浮かべるでしょう。しかし、それだけではないのです。市販されているコンパクトなデジタルカメラやスタンダードな一眼レフカメラに組み込まれている内蔵型のフラッシュは、基本的に直前を明るくすることしかできませんが、調整可能なストロボを一つ所持しておくと、突然のシチュエーションにも対応が可能となります。
角度調整が可能なストロボの場合、「バウンス撮影」という技術を使うことができ、フラッシュの光を天井に反射させることによって、直接的な強い光を避けつつ、より柔らかく自然な光の雰囲気を写真に映し出すことが可能です。
3.その他のコツ
さらに深く探究してみると良いでしょう。コツを得ることで、カメラに対する愛着も一層深まるはずです。
3-1.カメラ設定のコツ:自分に合った一つを見つけよう
数あるカメラ設定オプションの中から、あなたに合う最適なパターンを特定することは写真撮影の鍵となります。序盤は多様な機能を体験したくなるものですが、焦点を定めることが肝心です。オートモードの利便性を活用する期間を終え、手動の魅力に挑戦してみましょう。オート設定は確かに「適度な仕上がり」を提供しますが、一方で結果の平凡化をもたらし、高価なデジタル一眼レフカメラの本来の価値を見失うことにもつながります。そうなれば「スマートフォンで十分」と考えてしまうかもしれませんが、それでは少々寂しいです。
個人的には、一眼レフカメラならではの背景のぼかし効果に魅せられ、「開放撮影」を愛好しています。常にレンズの絞り値を最低限に設定し(f値は最も小さい数値)、光をたっぷりと集めます。基本として「昼間の屋外での撮影」を想定し、以下のようなセッティングをお勧めします。
- 撮影モード「A」や「Av」を選び、「絞り優先モード」を活用する
- F値は可能な限り小さい値に設定し、絞りを開放して光量を確保する
- ISO感度は低く保ちつつ、シャッタースピードが遅くなり過ぎないよう調整する
詳しい設定方法については、この記事で詳しく解説していますので、ぜひ参照してみてください。
3-2. 不要な要素を取り除く撮影テクニック
写真に落ち着かない感じがする場合、多くの場合は、写真に不要なものが映り込んでしまっていることに起因します。初めに取り組むべきは、しばしば強調される「引き算の原則」を適用すること。不必要な要素をできる限り排除してみてから、徐々に加えていく手法を試してみましょう。前述した無限に拡がる海の写真は、この引き算を徹底的に行った一例です。人が海原を歩いているような印象が伝わったでしょうか。
背景の詳細や砂浜を排してしまえば、写真の枠外は鑑賞者の想像力に委ねられるのです。最初は、被写体への距離を縮めたり、背景にあまり物がない状況で撮影をするように意識すること。加えて、徐々に背景や被写体を足していくことにより、物語りや奥行きを写真に吹き込んでいきます。
序文で触れた広大な海原の写真の裏側をお話ししましょう。実は、それはごく一般的な海水浴場の様子でした(笑)。紹介した写真は、遠く沖合ではなく、海岸線からほんの数メートルの範囲で撮影されたものです。ご心配なく。
あと一歩引けば、砂浜か沖合の景観が写ってしまうほどの、ぎりぎりの位置で「ただ海だけ」が映るようにカメラを構えたのです。
3-3.構図の定め方:撮影前の心得
写真撮影の際、重要なのは撮影機会を逃さないことです。撮影への情熱を燃やすだけでなく、まずは落ち着いて、現場の空気や気温、そして光景に心を寄せてみることが大切です。
その瞬間に「何か」を感じ取ったら、そこに意識を集中させてみます。心で感じるぴったりの配置、つまり構図が浮かんだら、それを信じてカメラを構え、シャッターを切ります。
少しわかりにくいかもしれまませんが(笑)、要は撮影する自分自身がモードに入ることが肝心です。この心得を自分なりのルーティンにしていただければと思います。
いつも「撮る前に構図を決める」を意識してください。
まとめ
長い間、デジタル一眼カメラの撮影を趣味にし続けてきた私に、ついにある結論が見えてきました。私が見つけた答えは「初期モデルのフルサイズデジタル一眼レフカメラで撮影すること」と「オールドレンズを使うこと」です。理由はズバリ、得られる写真の独特な雰囲気がとにかく好みだからです。
初期のフルサイズデジタルカメラには、最先端の機材が提供する「高解像度・高画質」な画像とは一線を画す、味わい深さが存在します。その味わいは、レンズの持つ特長を活かした仕上がりにあるのです。これはフィルムカメラからの移行をスムーズにするための配慮だったのかもしれません。デジタルの発展段階にあるこの仕上がりに、私は独自性を感じています。
オールドレンズを選ぶ理由は、照明の弱さやピントの甘さがむしろ魅力となり、写真に面白みを与えるからです。フルサイズが好まれるのは、35mmフィルムカメラと同じ視野角を維持し、レンズ本来の表現力を最大限に生かせるためです。
これは純粋に個人の好みの問題で、旧式で素朴だと考える人もいるかもしれません。クリアで鮮明な最新のカメラの画像がお好みなら、その道を極めるのも素晴らしいでしょう。何を良しとするかは、その人によって異なりますので、ご自身にとっての「これぞ!」と思うスタイルを見つけ出してみてください。自分のスタイルが確立すれば、撮影に関するもやもやも一掃されるはずです。