動物園フォトテクニック完全ガイド!カメラセッティングからアングル・レンズ選びまで

動物の楽園とも言える動物園には、力強いゾウや毅然たるライオン、愛くるしいモルモットやうさぎといった、多様な生き物が存在し、彼らが心地よく過ごせるように配慮された環境が提供されています。

動物たちが自然に近い条件下で飼われていることから、彼らの天性の姿を写真に収めることができる点が特に魅力的です。

動物愛好家たちにとって、動物園は理想的な撮影地点と言えます。

しかし、実際に動物園でカメラを構えてみると、動物を隔てる柵が写真に映り込んでしまったり、動物の動きに焦点が合わせられずにぼやけた写真ができてしまったりすることもあります。

動物園での写真撮影を成功させるためには、そのためのテクニックを事前に学んでおくことが推奨されます。

本稿では、動物園で生き物をうまく撮影するためのカメラ設定と技術について説明します。

もしあなたがこれから動物園で撮影を考えている方、または過去に動物園での撮影に失敗して悩んでいる方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

  1. 動物園について
  2. 動物園で撮影する際の注意点
    1. フラッシュ使用の自粛を強く推奨
    2. 観光スポットでは長居を避けましょう
    3. 三脚利用時の留意点
    4. 動物を惹きつけるための過度な行為は控える
    5. 野生動物との距離を保つ
  3. 動物園の撮影ガイド:メインの被写体に迫る
    1. 巨大な生き物たちに注目
    2. ライオン等の肉食獣の撮影テクニック
    3. 自由奔放な動物たちの撮影術
    4. 小型陸生動物の撮影テクニック
    5. 夜間活動を行う生物の展示環境
  4. 動物園撮影時の理想的なカメラ設定について
    1. 動物写真における絞り優先モードの活用術
    2. 動物の素早いアクションを捕捉するためのシャッタースピード優先設定
    3. シャッターチャンスを見逃さないための連写機能の活用
    4. 「サーボAF」でのAFモード設定
  5. 動物園フォトグラフィー:プロ顔負けの写真を撮るための4つの秘訣
    1. 撮影テクニック1:自然な雰囲気を残すために人工物を避ける
    2. 撮影テクニック2:ガラス越しの撮影テクニック
    3. 撮影テクニック3:動物の移動に追従せず
    4. 撮影テクニック4:部分的なアングルで迫力の動物撮影
  6. 動物園撮影の推奨される構図テクニック
    1. 「日の丸構図」の撮影テクニックについて
    2. 三分割法の基本
  7. 動物園での撮影に最適な機材選び
    1. 撮影機材について
      1. 軽量なミラーレス一眼
      2. 動きやすい液晶画面
    2. カメラレンズの選び方
      1. 動物園での望遠レンズ活用法
      2. 超望遠レンズの特徴
    3. アクセサリーについて
      1. シリコン製レンズフード
  8. 動物園フォトガイド

動物園について

動物園とは、生命あふれる動物たちを飼育・研究し、観光客などに向けて開放している場所です。主に陸上生物を展示対象としていることが多いです。

動物園にて水生生物を見ることができることもありますが、水生生物をメインに展示する施設は一般的に「水族館」と称されています。

撮影に関しては、ほとんどの動物園で自由に行うことができるのが普通ですが、非個人的な使用や商業的な目的の撮影を行う際には、事前に許可が必要となるケースもあるので注意が必要です。

動物園で撮影する際の注意点

フラッシュ使用の自粛を強く推奨

多くの動物園がフラッシュを使用した写真撮影を禁止しています。撮影者にはこのルールを遵守するよう促す対策が講じられることがあります。フラッシュの光は動物たちに重度のストレスを引き起こし、目の病気や網膜への損傷といった深刻な影響を及ぼす可能性も考えられます。もし動物園へ行く際は、公式の案内がない場合でも、ストロボやフラッシュの使用は慎重になることが望まれます。自動でフラッシュが作動しないよう、来園前に必ず「オフ」に設定しましょう。

観光スポットでは長居を避けましょう

写真撮影に夢中になることは理解できますが、他の観光客の迷惑にならないよう撮影場所での滞留時間は短めにしましょう。状況を見ながらテキパキと撮影することが肝要です。特定の人気動物の展示では、観覧の人数や時間に規制がある施設もありますので、万が一満足いく写真が撮れなくても、動物園の規則はきちんと守る必要があります。

三脚利用時の留意点

動物園において三脚を使用しても問題ない場合もありますが、過度に広いスペースを占有するような大きな三脚での撮影は控えましょう。特に幼い訪問者が多い場所では、三脚が子供たちの転倒事故の原因になってしまうことも考えられます。ですので、他の来園者を配慮しつつ慎重に三脚を設置しましょう。

動物を惹きつけるための過度な行為は控える

写真撮影の際、動物たちがカメラを向ける方を見てほしいという理由で、囲いやガラスに騒音を発するのはやめましょう。動物たちは人よりも敏感な感覚を持ち、これらの行動は彼らにとって不快なストレス源となる可能性があります。また、自己判断でエサを与えるようなことも、動物たちに良くない影響を与えるため控えるべきです。

野生動物との距離を保つ

人と動物の間には、動物園では柵やケージを設置して安全を確保しています。しかしながら、動物たちの中には、尿をかける、糞を飛ばす、唾液を投げるといった行動を超えてしまう場合もあります。

特に、猿などの器用な手を持つ生き物は、観光客が持つカメラを奪ったり、引っ張ったりする事態も起こりうるので、決して安心はできません。

動物が至近距離に来た際には、一瞬の撮影チャンスと捉えてしまうこともあるでしょうが、相手がどうあれ、常に警戒心を持ち続けることが重要です。

動物園の撮影ガイド:メインの被写体に迫る

多種多様な動物たちが集う動物園は写真愛好家にとって格好の撮影スポットです。ここでは、そんな動物園で出会える特徴的な動物たちと、彼らをより良く撮影するためのコツについてご紹介しましょう。

巨大な生き物たちに注目

動物園での見どころのひとつと言えば、ゾウやキリンのような大型の動物たちです。これらは人々に愛される存在であり、比較的ゆったりとしたスペースで鑑賞することができます。写真を撮るには格好の対象で、特に写真撮影が趣味の初心者には撮りやすいです。通常、これら大型動物との間には安全を確保した距離が保たれるため、望遠レンズを駆使してのズームインが効果的です。一般的に全身を撮影しようとするよりも、一部分を大胆にフレームいっぱいに捉えるような構図を試してみるのも一つの方法です。

ライオン等の肉食獣の撮影テクニック

ライオンを筆頭にする肉食獣の撮影は、彼らの野性的な魅力を引き出したい一心ですが、動物園で彼らの原野を思わせるような迫力ある一枚を撮るのは容易ではありません。肉食獣が動物園で生活している限り、狩猟行為がないため、その力強さを画像に収めるのは困難です。日光浴を愛し、昼間もよく休息を取る動物園のライオンたちのため、穏やかな姿勢が通常写されることになるでしょう。それでも、彼らの獰猛な一面を写真に残したいなら、大あくびにより強調された獣の牙や、どこか遠くを凝視する鋭い目力を捉える構図が推奨されます。

自由奔放な動物たちの撮影術

群をなして行動する猿といった自由奔放な動物を見ると、どの個体をメインに撮影すればいいか迷う場合があります。猿が多数存在する光景を遠くから捉えたとしても、結果的には印象に欠ける写真が完成する可能性が高いです。どの猿を撮影の中心に据えるかを選定し、続けざまに監視して、望遠レンズを活用してみましょう。特別にかわいらしいシーン、例えばグルーミングや他の猿との遊び心ある交流をカメラに収めることが出来ます。

檻が配されたエリアでは、猿との物理的な距離が近くなることもしばしばです。猿は手先が非常に長くて柔軟性に富んでいるため、カメラが奪われないよう十分に警戒してください。

小型陸生動物の撮影テクニック

陸上をチョコマカと動き回るウサギのような小動物の写真を撮る際には、しゃがんでカメラを持つと良いでしょう。その際、撮影対象と同じ目線の高さ、つまり動物の背の高さで構えるのがコツです。

もし高い位置から写真を撮ってしまうと、その愛らしい瞳や魅力的な表情を十分に捉えることができません。

可動式のLCDスクリーンが付いたカメラの場合、変な体勢を取らなくても小動物たちを楽に撮ることが可能です。

夜間活動を行う生物の展示環境

夜に活躍する生物は、屋内や薄暗いスペースに展示されることが多いです。これらを写真に収める際には、他の動物と同様にフラッシュやストロボの使用は絶対に控えるべきです。低い照度の中で撮影する技術としては、シャッタースピードを落としたり、ISO感度を高めたりする手法が有効です。しかしカメラの機能によっては、それでも困難なほど暗い状況もありうるため、時として撮影を断念する判断も必要になることを頭に入れておきましょう。また、カメラの交換レンズを、明るい単焦点レンズへの変更することも推奨されます。

動物園撮影時の理想的なカメラ設定について

動物園での撮影をする際、動物たちを鮮明に捉えるために適切なカメラ設定のポイントをお伝えします。

動物写真における絞り優先モードの活用術

絞り優先モードを活用すれば、焦点の深さをコントロールしながら、カメラにシャッタースピードとISO感度の調整を自動で任せることができます。撮りたい被写体のボケ感を思いのままに演出することが可能です。例えば、背後に他の観客などが映り込んでしまうシチュエーションでは、F値を低く設定することで、主題となる被写体を際立たせながら、周囲を美しくぼかして撮影することが望ましいです。そうすると、柔らかく優しい雰囲気を表現することができます。

動物の素早いアクションを捕捉するためのシャッタースピード優先設定

撮影者がシャッタースピードをコントロールし、絞りやISO感度はカメラの自動設定に任せるのがシャッタースピード優先モードの特徴です。これにより、素早く動く被写体も明瞭に捉えることが可能になります。たとえば、絶えず動き続けるハムスターや素早い猿などの写真には最適なモードです。

特にシャッタースピードを1/1000秒以上にすると、疾走する犬をはじめとした迅速な被写体であっても鮮明な写真を得られます。被写体の動きに応じたシャッタースピードの調整が重要です。 ※ISOセンシティビティの自動調整を利用するには、設定でISOオートを選択する必要があります。

シャッターチャンスを見逃さないための連写機能の活用

動きが予測できない動物たちの撮影では、一瞬の動きや表情をとらえることが重要です。予想外の動作を見逃さないため、更には思いがけない表情の変化がある場合もありますから、撮影に際しては連写機能を事前に設定しておくと良いでしょう。

カメラのドライブモード(Nikon製のカメラでは「レリーズモード」と呼ぶことも)を使い、連続高速撮影ができるようセットアップしておくと効果的です。例えば、1秒間に20枚の撮影が可能になります。

多くの場合、撮影している最中には似たような写真が多くなるかと感じるかもしれません。しかし、後からじっくりと写真を見返した際には、微妙な違いに気づき、それぞれの独特な表情を楽しむことができるのです。

「サーボAF」でのAFモード設定

カメラのAFモードを「サーボAF」に設定すれば、シャッターボタンを半押しした状態で速い動きをする被写体も追従し、自動で焦点合わせを行ってくれます。こうすることで、写真撮影が初めての方もブレのないクリアな写真を手に入れやすくなります。ピントを合わせるのに費やす手間が削減されるため、大事な瞬間を素早く捉えることが可能になります。

動物園フォトグラフィー:プロ顔負けの写真を撮るための4つの秘訣

動物園での写真撮影は、独特なスキルを必要とします。ここでは、訪れる多くの愛好家が念頭に置くべき、印象的な動物の写真を撮るための4つの秘訣をご紹介します。これらの秘訣を利用してみることで、あなたの撮影技術が一段と向上し、満足のいく作品が得られるかもしれません。さあ、ぜひこれらのコツをあなたの撮影に活かしてみてください。

撮影テクニック1:自然な雰囲気を残すために人工物を避ける

動物を撮る際は、なるべく看板や柵、檻などの人工物が写らないように心がけることが重要です。これらが写り込むと、動物園で撮られたといった印象の写真になってしまいます。できるだけ自然な生態を感じさせる写真を撮るために、これらの物を写真に含めないようにしましょう。

特に檻の中の動物を捉えたい場合、望遠レンズを活用し、絞りを最大に開けてレンズを檻のすぐそばに持っていくと良いでしょう。これにより、前景にある檻をぼかし、その存在を感じさせない写真を作ることができます。

さらに、撮影者が位置を工夫したり、動物がいる場所を選ぶことも大切です。檻が前景にあっても、背景に人工的なオブジェクトが写り込んでは意味がなくなりますので、背景に檻や看板が映らないよう配慮して撮影することが大切です。

撮影テクニック2:ガラス越しの撮影テクニック

動物園でガラス越しに撮影する際、意識しなければ撮影者や周囲の人々が映り込む可能性があります。特に光の反射は、撮影の大敵となります。太陽光が直接ガラスに当たると、ガラスが白く輝いてしまい、望む画像を手に入れることが難しくなります。

そんな時は、日陰が見つけられる場所を探してみてください。そして実際の撮影に取りかかるときは、カメラを可能な限りガラス面に寄せることで、不要な写り込みや反射を最小限に抑えましょう。また、ご自身の着ている服の色が暗ければ、さらに写り込みを防げることが期待できます。

撮影テクニック3:動物の移動に追従せず

野生生物の撮影においては、彼らの移動に同調するのではなく、適切な瞬間を静かに待ってシャッターを切ることが重要です。動物たちが繰り返す動作や定石の行動範囲を予め把握し、想定したフレーム内に彼らが現れるのを辛抱強く待ちましょう。撮影対象の生態を細かく観察し、行動パターンを特定することで、撮影の好機をつかむ確率も高まります。

撮影テクニック4:部分的なアングルで迫力の動物撮影

動物の撮影に取り組む際、どうしても全体像を捉えたくなるのは自然な傾向です。しかし、望遠レンズを駆使して対象に寄り添い、迫力溢れる一枚を作り出す手法も魅力的です。特に動物らしい毛並みや目の光り方など、日常ではなかなか観察できない部分の魅力を、くっきりと捉えることが可能になります。その結果、動物のパターンや毛の流れが目を惹く、他にはないユニークな写真が完成することでしょう。

動物園撮影の推奨される構図テクニック

動物園での写真撮影には、日の丸構図や三分割構図が特に適しています。これらは基本的な構図法として知られており、多彩な動物のシーンを捉える際に役立つことでしょう。

「日の丸構図」の撮影テクニックについて

「日の丸構図」とは、被写体を写真のまん中に配置する撮影スタイルのことで、その名前は日本の国旗を想起させます。写真作品においてメインとなる対象を中央に据えることで、注目を集めやすくする効果があります。特に、野生動物などの迫力を表現したいシーンでは、その効果を発揮します。

しかし、この構図は比較的シンプルなため、単調になりがちです。そのため、背景をぼかすブラー加工、前ボケを利用するなどのアプローチで変化を持たせることが推奨されます。

三分割法の基本

三分割法というのは、画面を縦にも横にも等分に3分割し、その交差するラインに焦点を置く写真の構図手法です。

中央に被写体がくる「日の丸構図」と異なり、中心からずらして被写体を配置することで、視覚的な魅力を増すと同時に、写真全体に物語性を加えることができます。

しかし、配置する被写体と背後の環境には配慮が必要であり、配慂が欠けると不均衡な印象を与えかねません。

被写体を三分割の交点、またはラインに合わせて配置することがこのテクニックの要点です。

動物園での撮影に最適な機材選び

撮影機材について

軽量なミラーレス一眼

ミラーレス一眼カメラは、一眼レフに比べて軽量であり、サイズもコンパクトなのが魅力です。特に広大な動物園での撮影の際には、その持ち運びやすさが大いに役立ちます。移動が多くなるため、体力に不安のある方は、この軽さを重視すると撮影時に疲れにくいです。

動きやすい液晶画面

また、小さな動物を撮る際には地面スレスレのアングルが要求されることも。可動式のバリアングル液晶やチルト液晶を備えたカメラであれば、無理な姿勢を取らずにローアングルからの撮影を行うことができます。

カメラレンズの選び方

動物園での望遠レンズ活用法

動物園での撮影では動物たちとの距離が離れているため、望遠レンズの使用が推奨されます。このレンズがあれば、まるで動物たちが目の前にいるかのような生き生きとした写真を撮ることができます。望遠レンズの利点としては、動物との間に存在する柵や網目を効果的にぼかして、撮影者にとって最適な画を作り出せることです。70mmから200mm程度の焦点距離を持つレンズであれば、動物を適度に大きく撮影することが可能ですし、動物園以外の場面でも汎用性があります。

超望遠レンズの特徴

焦点距離が300mmを越えるようなレンズは、超望遠レンズと称されます。これは一般の望遠レンズよりさらに長い焦点距離を持つため、遠方にいる動物をクローズアップして撮影することが出来るほか、背景を滑らかにぼかして、主題を際立たせる効果があります。ただし、レンズ自体が高価でかさばるため、日頃の使用には向きません。万が一超望遠レンズの購入を検討される際は、具体的な使い勝手を確認するためにも事前にレンタルして試してみることをお勧めします。

アクセサリーについて

シリコン製レンズフード

カメラのレンズ前面に取り付けるシリコン製のレンズフードは、不要な反射が原因で生じる写り込みを最小化するのに役立ちます。特にガラス越しに撮影する際の写真をクリアにすることができます。レンズフードを密着させることで隙間を無くし、この効果を実現します。また、シリコン製レンズフードの多くは折り畳み式で携帯に便利なため、撮影環境が不確かな場合でも携帯しておくと安心です。

動物園フォトガイド

動物園での野生動物の撮影技術を向上させるためのカメラ設定及び撮影テクニックについて解説しました。

動物園訪問前に事前に撮影プランを立て、シーンに応じたイメージ作りをしておくことで、夢に描いたような写真を撮ることが可能です。

さまざまな場所や気象条件に柔軟に適応する必要もありますが、基礎的な撮影技術やカメラ設定、さらには構図への理解があれば、どんな条件の中でも撮影の醍醐味を存分に味わうことができます。