【カメラ入門ガイド】ロスレスRAWの秘密:圧縮・非圧縮RAWとの徹底比較解説

みなさんは、RAWファイル形式にも異なるタイプがあることをご存知ですか?私自身、使っているカメラには「RAW記録方式」というメニュー項目があり、実は設定できるRAWの種類が3つあるんですね。

今回は、そういったRAWファイルの三つのタイプ:ロスレスRAW、RAW圧縮、そしてRAW非圧縮についてご説明したいと思います。

各RAWファイル形式の特徴を覚えることで、あなたに最適な方式を選んで、写真をより効果的に保存する手助けになるでしょう。特にRAWファイル形式の詳細を理解したい方には、この情報は非常に有益です。

最後に、どのRAW形式を選ぶかで迷った場合には、ロスレスRAWをお選びすることを推奨します。これが結論です。

RAWデータとは?その読み方について

RAWデータの読み方は英語の【RAW(ロウ)】と発音します。「RAW」とは英語で「生」を意味し、写真データにおいては、加工や現像が施されていない、オリジナルの生の状態で保存されているファイル形式を指します。

アナログのフィルム撮影で例えるならば、これはネガフィルムに相当するものです。かつては高性能なカメラ、例えば一眼レフカメラやミラーレスカメラ専用の機能でしたが、時代の進化とともに最近ではスマートフォンやiPhoneでもRAW形式での撮影が可能となりました。これにより、RAWデータはより身近な存在となり、以前よりも多くの方々に親しまれるようになっています。

RAWファイルの長所と短所

RAWファイル形式には数々の長所があります。とりわけ、すべてのイメージデータが保存されていることが挙げられます。これにより、編集時の自由度が非常に高くなります。使用しなかったカメラの設定情報も残されており、後から「こんな感じにしたかった」という調整が可能になるのです。このような編集の自由度はRAWファイル特有の最大の利点です。

反面、デメリットとしては、膨大なデータ量を含むため、ファイルサイズが非常に大きくなってしまうことが挙げられます。ファイルサイズが大きいということは、その分多くのSDカードスペースを準備する必要があること、また、他のデバイスへのデータ移動に際しても時間がかかることを意味します。さらに、RAWファイルはフィルムのネガと同じように「現像」が必要となるため、特定のデバイス以外では閲覧がしにくくなっています。

結局のところ、データ量や取り扱いの容易さを犠牲にしてでも、編集可能な幅を極限まで広げ、完成された写真の質にフォーカスを当てたのがRAW形式の特徴と言えるでしょう。RAWについては他の記事でも詳しく解説していますので、そちらもあわせてご覧いただくとより理解が深まります。

RAWファイルの開き方(現像方法)

通常、RAWファイルは直接開くことができません。

RAWファイルを閲覧するためには、Adobe PhotoshopやAdobe Lightroomなどの専門ソフト(アプリケーション)が必須になります。

それ以外にも、Microsoftストアから取得できるRaw 画像拡張機能などの方法があります。

使用するパソコンやタブレット、OSのバージョンによって表示方法には多少の違いがありますが、RAWファイルを扱うにあたっては、主に上述したRAW現像に対応したソフトウェアやアプリの存在を念頭に置いておくことが重要です。

RAWファイルのバリエーション

RAWファイルには、具体的には3つのタイプが存在します。一眼レフカメラやミラーレスカメラのメニュー設定をいじった経験がある方なら、これらの言葉は聞き覚えがあるかもしれませんね。

  • 非圧縮RAW
  • 圧縮RAW
  • ロスレスRAW

それでは、これらのタイプについてそれぞれの特性を確認していきましょう。

非圧縮RAWについて

一般に【RAW】と呼ばれる画像データの形式において、「非圧縮RAW」という用語は、圧縮したRAW形式のデータが存在することに由来します。この非圧縮の形式は画像を圧縮せずに保存するため、ロスレスRAWや圧縮RAWと比較して、現像ソフトを用いた画像処理が速いというメリットがあります。そのため、高品質な画像と迅速な現像を両立させたい場面で推奨されます。

圧縮RAWについて

圧縮RAWは、文字どおりRAWデータを圧縮した形式を指します。通常のRAWに比べて、ファイルサイズを小さくすることができるのが特徴です。紹介する3種類のRAWデータの中で、最も圧縮効率が良いのが圧縮RAWです。圧縮後のファイルサイズはオリジナルの約45~65%になることが多く、保存にかかる時間が短いため、特に連写撮影に適しています。さらに、圧縮RAWでは、非可逆圧縮という手法が利用されています。

非可逆圧縮の仕組み

非可逆圧縮とは、目で見て判別がつかない程度の微細な画像の詳細や、耳で聞き分けられない微小な音を削除するか変換することでファイルサイズを減少させる圧縮方式です。この方式を使用した代表的な例としては、「JPEG」ファイルフォーマットがあります。

ロスレスRAWの特徴

ロスレスRAWとは、通常の非圧縮RAWの高品質は維持しつつ、より小さなファイルサイズを実現した形式です。この形式が他のRAWフォーマットと異なる点は、データを圧縮する際に可逆圧縮を採用していることにあります。

可逆圧縮とは?

この圧縮技術により、データは圧縮されるものの、後に元通りに完全に戻すことができるので、画質を損ねることなくデータ量を削減することが可能です。「ZIP」ファイル形式のように、パソコンで良く利用される圧縮方式でもあります。比較的圧縮率は60~80%程度と高くはないものの、品質を落とさずに済むという点で大きな利点があります。

簡単に言えば、ロスレスRAWは非圧縮RAWの高画質は保ちつつ、圧縮RAWの小容量も兼ね備えた、中間的な位置付けのフォーマットと言えるでしょう。

RAWデータの選び方と使い分け方法

RAWデータの使い分けは、次のようになります。

  • 非圧縮RAW:編集作業を重点に置く者にはこれが最適です。
  • 圧縮RAW:SDカード容量が限られている方に適しています。
  • ロスレスRAW:ほとんどのユーザーに推奨できる選択肢。

表現を変えるならば、全体的なおすすめは効率の良いロスレスRAWです。私がこの記事のタイトルにロスレスRAWを掲げたのも、そのためです。非圧縮と圧縮の良い点を兼ね備えているため、どんな方にも私はロスレスRAWを推薦します。ただ、これには解凍する手間が伴いますので、時間を大切にしたい方は非圧縮RAWが適しています。

編集中のアイデアがスムーズに実施できるため、非圧縮RAWは作業効率を優先する方に最適です。一方で、膨大な写真撮影が必要な場合やSDカードの空きを気にする必要がある時は、圧縮RAWが向いています。SDカードが満杯になると手間がかかり、大事な瞬間を逃すかもしれませんから、より多くの写真を記録できる圧縮RAWが助けになります。しかし、大容量データの取り扱いを鑑みて、どのRAW形式が適当かを選ぶ際は、今後の撮影量やデータ転送のニーズも検討すると良いでしょう。

推奨するRAWの種類とその理由

私が推薦するRAWファイルの形式はロスレスRAWです。これをお勧めする大きな理由として、SDカードの容量が限られているからです。SDカードの空き容量は人によって異なりますし、非圧縮RAWで多数の写真を撮影するのは、容量の問題から難しいと思う方も少なくないでしょう。

また、カメラに搭載されているメモリーカードスロットの種類によっても、取り扱いが異なります。

※シングルスロットはメモリーカードを1枚だけ挿入できるタイプですが、ダブルスロットは2枚のメモリーカードの同時使用が可能です。二枠あれば、RAWとJPEGの分割保存が実行できますが、シングルスロットではそのような使い方はできません。

その結果、ストレージ容量は避けて通れない関心事となります。そんな時に役立つのがロスレスRAWです。この形式を使用すれば、ファイルサイズをある程度控えめにしつつ、非圧縮RAWと同等の画質を保つことが可能です。カメラのモデルを問わず、非常に汎用性の高いフォーマットだと私は考えています。実際、私もRAW撮影する際には常にロスレスRAWフォーマットを用いています。

まとめ:最適なRAWファイル形式の選び方

今回は、さまざまなRAWファイル形式の選び方についてご案内いたしました。個人的には、非圧縮RAWと圧縮RAWのメリットを両立させたロスレスRAWが最良の選択だと考えます。

しかし、非圧縮RAWや圧縮RAWを選択する利点も確かにあるのです。写真撮影のシーンや使用するカメラの種類性能を鑑み、自身にピッタリ合うRAWファイル形式を見つけ出しましょう。